古物商の管理者とは

古物商の管理者とはどのような役割を果たすのでしょうか、また管理者に就任するために必要な条件はあるのでしょうか。

このページをお読みいただくと、管理者の役割と管理者に就任するための条件が分かります。

目次

管理者の定義

管理者の定義については、古物営業法第13条に下記のような内容が記載されています。

  1. 第1項に「営業所ごとに、当該営業所に係る業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければならない
  2. 第2項に「管理者の欠格事由
  3. 第3項に「古物商は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして国家公安委員会規則(古物営業法施行規則)で定める知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならない

これらの解釈基準や解説は、警察庁からの通達、古物営業法第4条、古物営業法施行規則第13条の2及び第14条に記載されています。

では早速どのような内容が書かれているのか見て行きましょう。

管理者の解釈基準

①職務上の責任について

警察庁からの通達には管理者の職務上の責任について次のように書かれています。

 

「~管理者は、営業所における業務を統括管理して下位の従業者等を指揮監督し、古物営業関係法令を遵守させて当該営業所等における業務を適正に実施させ得る者でなくてはならず、従業者を実質的に指揮監督する職にある者でなければならない。なお、古物商自らが当該営業所等における業務の実施を実質的に統轄管理することができる場合にあっては、当該古物商等が自らを管理者として選任することも許容される。

 

この内容から、古物営業関係法令を理解していて、責任を負うことができる立場にある方であることが求められていることが分かります。

②常勤性について

管理者が営業所にどの程度いなければならないのかについて警察庁からの通達には次のように書かれています。

 

「管理者は、それぞれの営業所等に常勤して管理者の業務に従事し得る状態になければならない。」

 

この内容からは常勤する必要があるということが分かりますが、「営業所に居る時間は営業時間内のみでよいのか」ということや、「一人で古物営業を行っていて出張買取りなどを行う際に少しの間だけ営業所を空けるのはよいのか」ということまでは分かりません。

そのため管理者の常勤性をクリアをしているかどうかについては、個別に管轄の警察署に確認をする必要があります。

③複数営業所の兼任の可否について

警察庁からの通達には複数の営業所を1名の管理者が兼任することができるかどうかについて次のように書かれています。

 

「~複数の営業所等が近接しており営業所等を実質的に統轄管理することができ、管理者の業務を適正に行い得る場合にあっては、同一人が当該複数の営業所等の管理者を兼任することも許容される

 

この内容から、例えば営業時間をずらせば、各営業所を統轄管理することが可能であったとしても、営業所が離れている場合は、同一人が複数の営業所の管理者を兼任することが認められていないことが分かります。

④知識・技術・経験について

管理者に必要な知識等については、古物営業法第13条第3項に「古物商は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして国家公安委員会規則(古物営業法施行規則)で定める知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならない」と書かれている他、古物営業法施行規則の第14条に自動車類及びバイク類を扱う場合についてのみ「~知識、技術又は経験は、自動車、自動二輪車又は原動機付自転車を取り扱う営業所の管理者については、不正品の疑いがある自動車、自動二輪車又は原動機付自転車の車体、車台番号打刻部分等における改造等の有無並びに改造等がある場合にはその態様及び程度を判定するために必要とされる知識、技術又は経験であって、当該知識、技術又は経験を必要とする古物営業の業に三年以上従事した者が通常有し、一般社団法人又は一般財団法人その他の団体が行う講習の受講その他の方法により得ることができるものとする。」と書かれています。

 

これらの条文から、管理者の知識・技術・経験の修得については「努力義務」であり、新規許可申請時に必ず備えていなければならないものではなく、許可後にそれらを身につけるように努めれば問題ないことが分かります。

管理者の欠格事由

下記の欠格事由のいずれかに該当する方は、管理者になることができません。(古物営業法第4条及び古物営業法施行規則第13条の2及び第14条)

  1. 未成年の方
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない方。
  3. 禁錮以上の刑に処せられ、又は古物営業法 第31条(無許可営業違反、許可の不正取得、名義貸し違反、営業停止命令違反、盗品の買取り等)に規定する罪若しくは刑法 第235条(窃盗罪)、第247条(背任罪)、第254条(遺失物横領の罪)、第256条第2項(盗品等運搬、盗品等保管、盗品等有償譲受け又は有償の処分あっせん)に規定する罪を犯して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過していない方。
  4. 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当る違法な行為を行うおそれがあると認めるに足る相当な理由がある方
  5. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第12条若しく第12条の6の規定による命令又は第12条の4第2項の規定による指示を受けた方で、その命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しない方。
  6. 住居が定まっていない方。
  7. 古物営業許可を取り消されてから5年を経過していない方(許可を取り消されたのが法人である場合は、取り消しに係る聴聞の「期日及び場所が公示された日」の前60日以内にその法人の役員であった方で、その取り消しの日から起算して5年を経過しない方を含みます。)
  8. 古物営業許可の取り消しに係る聴聞の「期日及び場所が公示された日」から、その「取り消しをする日又はその取り消しをしないことを決定するまでの日」の間に許可証の返納をした方で、その返納の日から起算して5年を経過していない方。
  9. 心身の故障により古物商管理者の業務を適正に実施することができないとして古物営業法施行規則第13条の2の規定に該当する方

管理者条件まとめ

管理者に就任するための条件は次の通りです。

  1. 古物営業について管理監督を行うことができるある程度責任のある立場の方。
  2. 古物商営業所に常勤に近いかたちで勤務することが可能な方。
  3. 古物商営業所に通うことができる場所に住まいがある方。
  4. 既に他の古物商の管理者に就任されていない方。(ただし、営業所が隣接する場合は兼任可能な場合あり)
  5. 未成年でない方。
  6. 欠格事由に該当しない方。

管理者Q&A

家族を管理者にすることは可能ですか?
 

住まいが賃貸物件で家主からも承諾を得ることができないため、実家を営業所とされたい方からこのようなご質問をいただきます。

登録上だけの管理者ではなく実際に古物営業に積極的に関わられ台帳の管理や警察の立ち入り調査への対応など行っていただくことが可能であればご家族を管理者に選任していただくことも可能です。

アルバイト従業員を管理者にすることは可能ですか?
 

社員と同じように常勤していて、長く働かれているなどの理由で責任を負うことができる立場にいらっしゃる方であれば、アルバイト従業員を管理者に選任することは不可能ではありません。

個人の管理者と法人管理者を兼任することは可能ですか?
  個人と法人の古物商営業所が同じ場所にある場合や隣接している場合は管理者を兼任することが可能です。ただし、それぞれの保管場所や台帳等が混在しないように明確に分けていただく必要があります。
関連する別会社の従業員が管理者に就任することは可能ですか?            
 

上記管理者条件を満たしていれば、出向などの場合は、管理者に就任することが可能な場合があります。ただし、管理者の欠格事由や管理者の解釈基準等にそれについての具体的な記述がないため個別に管轄の警察署にご確認いただく必要があります。

 

住まいから営業所が離れているのですが問題ないですか?                   
 

住まいから営業所の距離や通勤時間に関する規定はございませんので、営業所に通い常勤することができれば問題ありません。東京に営業所があり住まいが長野県にあるケースで、新幹線で通うことができるという説明で許可が下りたこともあります。